YNUプラウド卒業生文庫 藤嶋 昭
藤嶋 昭(ふじしま あきら)
1942年03月10日 -
経歴
1942年3月10日 | 東京都に生まれる。 |
1966年 | 横浜国立大学工学部電気化学科 卒業 |
1968年 | 東京大学大学院工学系研究科 修士課程修了 |
1971年 | 東京大学大学院工学系研究科 博士課程修了(工学博士) |
1971年 | 神奈川大学工学部応用化学科 専任講師 |
1975年 | 東京大学工学部 講師 |
1976年~1977年 | テキサス大学オースチン校 博士研究員 |
1978年 | 東京大学工学部 助教授 |
1983年 | 朝日賞 |
1986年 | 東京大学工学部 教授 |
1995年 | 東京大学大学院工学系研究科 教授 |
2000年 | 日本化学会賞 |
2003年 | (財)神奈川科学技術アカデミー 理事長 |
2003年 | JR東海機能材料研究所 所長 |
2003年 | 東京大学 名誉教授 |
2003年 | 紫綬褒章 |
2004年 | 産学官連携功労者表彰・内閣総理大臣賞 |
2004年 | 日本国際賞、日本学士院賞 |
2005年 | 東京大学 特別栄誉教授 |
2005年 | 横浜国立大学 名誉博士 |
2006年 | 神奈川文化賞 |
2008年 | (独)科学技術振興機構中国総合研究センター センター長 |
2010年~2018年 | 東京理科大学 学長 |
2010年 | 川崎市文化賞 |
2010年 | 文化功労者顕彰 |
2012年 | イタリアトリノ大学 名誉博士 |
2012年 | トムソン・ロイター引用栄誉賞 |
2013年~ | 東京理科大学光触媒国際研究センター長 |
2017年 | 文化勲章受章 |
2018年 | 川崎市名誉市民 |
2018年 | 東京理科大学 栄誉教授 |
業績
主な著作
- Electrochemical Photolysis of Water at a Semiconductor Electrode, Nature, Vol. 238, p. 37, 1972
- Hydrogen Production under Sunlight with an Electrochemical Photocell, Journal of the Electrochemical Society, Vol. 122, p. 1487, 1975
- 電気化学測定法(技報堂出版, 1984年)
- 光のはなし(技報堂出版, 1986年)
- Light-induced amphiphilic surfaces, Nature, Vol. 388, p. 431, 1997
- 光クリーン革命:酸化チタン光触媒が活躍する (シーエムシー, 1997年)
- 光触媒のしくみ(日本実業出版社, 2000年)
- 光機能化学 :光触媒を中心にして(昭晃堂, 2005年)
- 太陽と光しょくばいものがたり(偕成社, 2010年)
- 科学も感動から : 光触媒を例にして(東京書籍, 2010年)
- 第一人者が明かす光触媒のすべて : 基本から最新事例まで完全図解(ダイヤモンド社, 2017.11)
その他、多数の著作物あり
酸化チタンの光触媒作用を発見
1966年、横浜国立大学工学部電気化学科(桃木研究室) を卒業後、東京大学大学院工学系研究科に進学、大学院在学中の1967年に、酸化チタンを水の中に入れて紫外光を照射すると水が分解されて水素や酸素を取り出せる光触媒作用(本多-藤嶋効果)を発見した。この成果は、1972年にNatureに掲載され、第一次オイルショックの起きた1973年には、「石油がなくても水素が取れる」として世界中で話題になった。
酸化チタンの抗菌効果の研究、超親水効果の発見
酸化チタンの光触媒作用によって水素を得られることがわかったものの、実験の結果、水素を得るには非常に時間がかかることもわかった。そこで、水を分解できる強い力に注目、快適な生活空間をつくることを目的として、光触媒による抗菌効果の研究を開始した。その結果、酸化チタンの殺菌効果により、大腸菌等の菌を死滅させることに成功した。
さらに、鏡の表面の油汚れを除去する目的で、酸化チタンをコーティングして光をあてたところ、鏡が曇らなくなるという超親水性効果を発見し、1997年にNatureで発表した。
以上のような酸化チタンの光特性によって、物質のセルフクリーニングが可能であることがわかり、家屋やテントの外装、医療機器や手術室の内装、車のサイドミラーや洗面所等の鏡などさまざまな物質に酸化チタン光触媒の技術が用いられ、生活環境の向上に欠かせないものとなっている。
読書推進・教育振興
光触媒研究に加え、読書推進に取り組んでおり、東京理科大学学長時代には、図書館に学長推薦図書をそろえ、また新書文庫を創設した。さらに、子供たちの教育振興にも積極的に取り組んでおり、子供向けの講演(実験、講義)を多数行っている。
参考文献: 国大化学会会誌 第9号 p.25-27